2026.05.28

【事例】DC閉鎖に伴うサーバー移設と課題解決(受託開発/福岡)

はじめに|DC閉鎖・老朽化・AWS移行判断に悩む情報システム担当者の方へ

企業の情報システム担当者が直面する最大のリスクの一つに、ITインフラの老朽化があります。
サーバーの突発的な故障やシステム停止は、企業の事業活動に甚大な影響を及ぼす可能性があり、早急な対応が必要とされます。
今回ご紹介するのは、大規模なサーバー移設プロジェクトの事例です。

本記事で分かること

・DC閉鎖に伴うサーバー移設を、どのような考え方で進めたか
・既存システムを活かしながらAWS移行を実現した方法
・OS・JP1・Office系ツール・EUCまで含めた運用課題をどう解決したか

本記事について

本事例は、単なるクラウド移行の話ではありません。
「期限が決まっている移設案件で、業務影響を最小限に抑えながら、保守性と運用性まで改善した事例」です。

特に、次のような企業様には参考にしていただける内容です。

・老朽化やDC閉鎖をきっかけに移設を検討している
・現行クラウドサーバーからAWS移行を考えている
・既存資産を活かしつつ、改修リスクや費用を抑えたい
・移行後の運用変更や現場定着まで支援してほしい

 

 

1. 最優先課題:データセンター閉鎖によるシステム継続リスクの回避

弊社が保守しているシステムのお客様から、現行クラウドサーバーのサーバー運用委託先が設備の老朽化を理由に
DC(データセンター)を閉鎖すると通達があったご連絡がありました。
それに伴い、大規模なサーバー移設が必要となり、このプロジェクトが始まりました。

本プロジェクト

本プロジェクトにおける最大のミッションは、DC閉鎖の期限までに、システムを安全かつ確実に移行し、安定稼働させ、企業活動への影響を最小限に抑えることです。
お客様は、現行クラウドサーバーの移行先に、最新のクラウドプラットフォーム「AWS(Amazon Web Services)」を選択されました。
システムを安全かつ確実に移行し、安定稼働させるため、サーバー移行方式として「イメージコピー」を提案しました。
これにより、旧環境(現行クラウドサーバー)を新環境(AWS)へ移すことが可能になります。
既存環境を丸ごとコピーしたことによって、アプリケーションレベルの大規模改修を回避し、工数を最小限に抑えることが可能になりました。

弊社の役割

旧環境を「イメージコピー」した後も、新環境で必要となる設定ファイルの変更、互換性の確認、システム全体の動作テストを担当しました。
旧環境の運用設計を最大限活用し、サーバー移設に伴う業務負荷の増大を防ぎつつ、確実なシステム稼働を実現しました。

 

 

2.既存資産を最大限活用したサーバー移設

今回のプロジェクトでは、単純な1台の載せ替えではなく、複数のサーバー・システムが移設対象となりました。

大規模サーバー群と移行が必要となるシステム群

対象は以下の通りです。
・本番サーバー:12台
・検証サーバー:4台
・C#とOracleを基盤とする主要なWebシステム:5つ
・バッチ処理群
・バッチ管理アプリケーション(JP1)
・Office系ツール群(本番サーバーにリモートデスクトップ経由で利用)
※EUC:End User Computingの略。お客様が情報システム担当者へ頼らず、自らシステム開発やデータ分析を行うこと、またはそのためにお客様ご自身で作成されたツール。

移行詳細

前述の「イメージコピー」を採用したことで、主要なWebシステム5つについては改修不要と判断し、短期間での移行を可能としました。
移行対象の検証サーバー1台が、APサーバーとDBサーバーを兼任していたため、旧環境の保守状況について綿密なヒアリングを行い、本番サーバーと同じ構成(APサーバーとDBサーバーでそれぞれサーバーを構築)に変更しました。
これにより、問題発生時の切り分けが容易になり、今後のシステム保守の負荷低減と品質向上を図りました。

 

 

3.運用環境の変化に伴う課題の克服とシステム運用環境の最適化

旧環境をイメージコピーでAWSへ移したとしても、そのまま全てが新環境で動作するわけではありません。
環境差分によって、設定変更や互換性確認、周辺ツールの見直しが必要になります。

OSやJP1のバージョンアップに伴う互換性対応

サーバー移設で必ずと言っていいほど発生するのが、バージョン問題です。
このプロジェクトでは、サーバーOSを移行当時最新の「Windows Server 2022」に更新し、ジョブ管理システム(JP1)もバージョンアップ(v11→v13)を実施しました。
バージョンアップは互換性リスクを伴いますが、事前準備を徹底し、他社と連携して検証を重ねた結果、問題なく完了しました。
新環境でのバッチ動作検証もつつがなく実施し、基幹システムの安定稼働を確保しました。

Office系システム利用制限への抜本的な運用変更策

サーバー移設において最も困難だったものが、Office系ソフトのライセンス厳格化に伴うAWS環境上でのOffice系ソフト使用停止対応です。
AWS環境ではOfficeのライセンスによってはOffice系システム(AccessやExcel)をサーバーインスタンス内にインストールし、利用することが出来ません。これにより、お客様ご自身で作成され、当社が保守を担当していたEUCの多くが運用困難となりました。
従来の運用に慣れた現場ユーザーに直接影響を及ぼしますが、従来の「リモートデスクトップ経由でサーバー内Officeを使う」運用が維持できないため、抜本的な運用変更を提案しました。
具体的には、Office系で使用するデータファイルをAWS上の共有フォルダに集約し、ユーザーは自身のクライアントPCからネットワークパス経由でアクセスする方式に切り替えました。
しかしこれに伴い、DBとの接続を行うツールに関しては各クライアントPCごとに、Oracleクライアントのインストール・ODBC設定を行う必要が出てきました。
そのため、ユーザーが導入しやすいよう、Oracleクライアントの導入マニュアルとODBC設定用バッチを作成・配布しました。さらに、現場ユーザーへのサポートを一括して行うことで、混乱を最小限に抑えながらスムーズな業務再開を実現しました。
また、事前検証にて一部のシステムにおいて大幅なレスポンスの低下がみられました。そのようなシステムに関しては旧環境と同等のレスポンスとなる様に改修を行いました。

サーバー移設を機にお客様からの要望

お客様のシステムの多くがドメイン名で運用することになっていました。
サーバー移設のタイミングで、移行対象システムについてもドメイン名での運用に変更したいとのご要望がありました。将来を見据えたご要望であったため、対応を行いました。
IPアドレスやホスト名をドメイン名に変更することは、システム間通信や外部連携設定の見直しが不可欠となります。設定ファイルに含まれるIPおよびホスト名をGrepにより一括で書き換えたうえで、チェックリストと確認用ツールを用いて徹底的に確認し、障害リスクを排除しました。

 

 

4.移行の成果:安定稼働と運用負担軽減の実現

大規模なサーバー移設を成功させる真の鍵は、単なる動作確認ではなく、「既存システムに対する圧倒的な習熟度」に基づいた品質保証にあります。
長年、お客様のシステムと向き合い、ソースコードの癖やドキュメント化されていない挙動まで理解しているからこそ、移行という大きな変化の際にも「本来あるべき動作」との差分を正確に検知できます。そのため、お客様に安心して新環境でシステムを利用していただくことができます。

安定稼働に向けた綿密な動作テストの実施

前述したWebシステム、バッチ処理群、ジョブ管理、EUCを含むOffice系システムなど、多岐にわたるシステムについて一つずつ詳細なテスト計画を策定し、綿密な動作テストを実施しました。
Webシステム、バッチ処理群、ジョブ管理については、旧環境と比較した際レスポンスが同等か・データの受渡しが問題なくできているかなどの確認しました。IPアドレス・ホスト名をドメイン名に変更したので、他システムとの連携に関しては、他システム担当者とスケジュールの調整、変更点など綿密に連絡を取り、テストを行いました。これにより、JP1など基幹システムも新環境に正常に機能することを確認しました。
また、EUCを含むOffice系システムに関しては、ユーザーの方での検証が必要であったため、お客様の主業務の合間、業務終了後に連携してテストをしました。

AWS移行がもたらしたプロジェクトの成果

今回のプロジェクト最大の成果は、サーバー運用委託先によるDC閉鎖というシステム継続リスクを、計画的かつ確実なAWS移行により完全に払拭した点にあります。
さらに、AWSは従量課金制のため、一部のサーバーについて稼働時間の見直しを行い、運用コストの最適化にも寄与しました。このことはクラウド移行が費用対効果の高いDXの第一歩であることを示しています。
また、お客様はシステムの運用が変わることに不安を感じておられましたが、大きなトラブルもなくシステムの運用が移行したことで、お褒めの言葉を賜っています。

 

 

【福岡/受託開発】サーバー移設・クラウド移行は当社にお任せください

オンプレミス環境からのクラウド移行、現行クラウドサーバーからAWSへの移行、環境老朽化に伴うサーバー移設など、
複雑なシステムや特殊な運用を含む案件では、単なるインフラ知識だけでなく、現場運用を踏まえた判断と支援が求められます。

当社は福岡を拠点に、ライセンス・互換性・運用変更といった難所にも向き合いながら、既存資産を活かした現実的な移設を支援してきました。

・大規模改修を避けたい
・業務影響を最小限に抑えたい
・保守しやすい構成へ見直したい
・AWS移行後の運用まで相談したい

そのような課題をお持ちでしたら、ぜひ一度ご相談ください。
お客様のシステム継続とDX推進を、受託開発・保守運用の両面から支援いたします。

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