2026.03.01

製造業のAWS移行で検証工数を2週間に短縮|既存資産活用のDX事例

クラウドサーバーの移行時、「本番さながらの長時間稼働テストをどう回すか」で頭を抱えたご経験はないでしょうか。

RPA導入のコストと社内承認フローが壁になり、結局は手動検証で工数が膨らむ。
製造業の情シス担当者からよく聞かれる悩みです。

本記事では、エクシーズが既存ソースコードを活用してこの課題を解決した実例を公開します。

AWS EC2への移行プロジェクトで、8時間×複数工程の連続稼働検証を自動化した結果、想定1〜2ヵ月の検証期間を2週間以内に短縮しました。

この記事でわかること

・RPAなしで稼働検証を自動化する具体的な方法
・CSV定義型の自動操作ツールの仕組みと実装手順
・製造業のAWS移行で注意すべき検証ポイント

なお、エクシーズは創業35年以上、福岡を拠点に製造業・自治体向けのスクラッチ開発・保守運用を一貫して手がけています。




システムと背景の概略

創業35年・福岡発。製造業現場に密着したスクラッチ開発

弊社第二システム部(以下、2S)は、地場企業様の生産現場で使用するシステムを上流工程から下流工程まで担当し、フルスクラッチでの受託開発および保守を行っています。
保守対象のシステムは主に.NET FrameworkとSQL Serverを基盤とし、パッケージソフトでは対応できない生産現場特有の業務に特化したものです。
先達の活躍もあり、今では企業様の生産現場に欠かせないシステムとしてご活用いただいています。

DC閉鎖をきっかけにしたAWS EC2移行の決断

システムの利用が浸透すると現場からの要望も増え、大小さまざまな改修を月々行っています。利用期間が長くなれば避けて通れないのが、サーバーの老朽化・端末の老朽化・OSなどの定期的なバージョンアップです。

今回の発端は、クラウドサーバーの提供元から施設老朽化に伴うデータセンター閉鎖の連絡がユーザー様にあったことです。

データセンターの閉鎖は回避する手段がなく、期日までにサーバーを移設するのみです。
ユーザー様が協議した結果、移行先はAWS EC2を採用しました。WEBシステムやバッチ処理、クライアントモジュール配布の仕組みまで含めて再構築すると膨大な工数が発生するため、既存構成を維持できるEC2を選択することで改修範囲を抑える方針としました。


最大の課題|8時間×複数工程の連続稼働検証


手動検証では現実的に回らない理由

私が保守しているシステムは生産現場で稼働しています。
システムが停止すると生産に影響があるため、AWSサーバーでの稼働検証は必須でした。
特に重要だったのは以下の2点です。

  • FTP接続によるプログラムの自動更新

  • 連続稼働時間


生産現場には複数の生産工程があります。理想は「8時間×生産工程分」の動作検証ですが、手動では並行作業が避けられず、作業遅延が発生する前提でした。
工数の大きさは明白で、チームには開始前から戦意喪失感が漂っていました。

RPAを検討してわかった「導入コストと承認」という壁

最初に思いついたのはRPAなどの自動操作アプリです。しかしユーザー様環境での導入となると、ライセンス費用や社内承認プロセスの問題が出てきます。
コストと時間の両面で現実的ではありませんでした。


答えは社内にあった~既存ソースコードの再活用

悩んでいたとき、弊社が別システムで作成した「画面操作を行うプログラム」があったことを思い出しました。対象プロセスを捕捉し、画面のボタンを見つけてマウスクリックまたはキーボード操作を行うシンプルなものです。既存資産としてソースコードも揃っており、自動操作に必要な処理が含まれていました。


実装の全手順|CSV定義型の自動操作プログラム

既存資産を改修して自動操作ツールを構築

プロジェクトメンバーに相談し、既存資産のソースコードを活用して必要な操作を自動で行うプログラムに改修しました。外部公開ツールではなくクライアント様管理下のソースコードを活用しているため、セキュリティ面でも問題はありません。Visual Studioで既存ソースを組み合わせ、CSVを読み込む処理を追加してコンパイルすれば完成です。

CSVファイルで動作を定義する仕組み

自動操作の内容を以下の形式でCSVファイルに記述します。

  • 対象のプロセスを指定

  • 対象オブジェクトを指定

  • キーボード入力 or マウスクリック

  • 前後の待ち時間


これにより、ソフトを新たに導入せずに自動操作を実現できます。

CSVファイルの定義例

CSVファイルの定義例_260302

本番投入前の検証プロセス

本番投入前には検証環境で十分なテストを行い、誤動作リスクを最小化しています。動作確認は本番環境と同じPCで繰り返し実施しました。


結果|想定1〜2ヵ月の検証期間が2週間に短縮

既存資産の改修とCSV定義ファイルの作成という作業は発生しましたが、手動検証と比べると格段に効率的でした。

  • 出勤時に自動操作をスタート

  • 日中に問題なく動作していることを適宜確認

  • 退勤前にログをチェック


複数工程を並行実行しても大きな問題は発生せず、当初1〜2ヵ月を想定していた検証期間は2週間に短縮されました。自動化により他の作業に人員を割くことが可能になり、プロジェクト全体の品質向上にも寄与しました。


まとめ|現場課題を既存資産で解決するDXの考え方

クラウド移行時に以下のような課題をお持ちの企業様は少なくありません。


  • 長時間稼働検証の方法が確立できていない

  • RPA導入コストに悩んでいる

  • 過去の既存資産を活かせていない


AWSサーバー移設をきっかけに、既存資産を活用して効率化と品質を両立したこの事例は、「現場の課題を正確に把握し、無理なく改善するDX」の好例です。
製造業のシステム移行・稼働検証でお困りの場合は、まず事例ベースでご相談ください。

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エクシーズでは、製造業・自治体の現場に密着したシステム開発・保守を福岡から提供しています。AWSへの移行、長時間稼働検証、既存資産の活用について個別にご相談いただけます。

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